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微笑むわけは

「職場に置きっぱなしにしてるモバイルがあるんだが」  仕事帰り、オート・タクシーに乗るなり、マスターであるクウヤ・アマサキはおもむろに口を開いた。 「……はい」  話の先が見えないことには、なにも問いかけられない。相槌を打つと、着ている立て...
Stories of companion star

てのひらのエデン (R-18)

アルブレヒト×レチカ / 何度目かの「初めて」の話
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吐息はシュガーミルク (R-18)

照明を絞った自室の中で、白い体がほんのりとオレンジ色の影を落として身を捩らせている。 狭い肩が竦められたかと思うと、細い腕が後ろから自身を抱くシグの腕を掴んだ。 だが、その力はごく弱い。抵抗していると言うよりも、縋りついているようであった。...
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J庭47ありがとうございました+通販のお知らせ

と言うことで、J庭47お疲れ様でした&ありがとうございました! 久し振りのイベントでドキドキでしたが、サンプルやサークルカットを見ていらっしゃって下さった方もいらして、とても嬉しかったです。ありがとうございます。 差し入れもありがとうござい...
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10/6 J庭47のお知らせ

※イベント終了までこの記事がトップになります※随時更新 10/6のJ庭に参加します。新刊、既刊の持ち込みは以下の通りです。 10/6 J.GARDEN47に06a ストロベリーフィールズ (3F Cホール) 新刊 「彼方遠くの星よりも」R-...
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彼方遠くの星よりも Intro +サンプル (R-18)

小さな頃、天に広がる星を掴むのが好きだった。 もちろん実際に掴める訳ではない。手を伸ばして、遙か遠くの空めがけて拳を握るだけだ。 それでも、無数に瞬く星の一つを手に入れたような気がして、わくわくした。 子供の頃の好きだったことは悪癖として残...
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彼方遠くの星よりも 設定紹介

※大してSF知識のない人間が勢いで書いているシリーズなので、考証などは気にせずお読み頂けますと幸いです Introduction 西暦2300年代に地球外惑星へ居住を移し、暦をマルグリット暦へと改めてから250年余りが経過した星々の世界――...
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ナイフとフォークよりもはやく (R-18)

「帰ったよ」  廊下からリビングに出ても、普段の通りくつろぐ吸血鬼の姿はなかった。 今日は土曜日。もう日が沈んでしばらくが経つから、教義の上では安息日だ。であるからこそ今日はなにもせず、どこにも出かけず、ゆっくりすごそうと思っていたのだが、...
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いつか朽ちてしまうまで

(「ぼくのルヴナン」同人誌版より10年ほど後)  ◆   戸を開けると、一人の男が言葉もなく突っ立っていた。 ふわふわのプラチナブロンドと、眠たげな青の瞳が特徴的な男である。見た感じ、成人してしばらくが――十年以上が経っているようであったが...
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足りない我らは

(「ぼくのルヴナン」より時間軸を遡っています)  ◆  切り揃えられたブラウンの髪が食堂のテーブルに広がっている。 「エレーヌ」  広がった髪がたわんで、白く美しい額の辺りだけが見えた。 「エレーヌはこの仕事が嫌になったりしないの」  変声...