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「ぼくのルヴナン」

今朝――いや、今日は二限目からだったから、それくらいの、昼と言うには早い、けれども朝と言うにはもうすっかり日の昇った時間に、校門で不思議な人を見た。 門柱によりかかるようにして立った、きれいな顔をした男の子だった。 ふわふわのアッシュブロン...
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今宵のところは、キスをひとつ (R-18)

いい気分のしない色をした錠剤以外に、クラブで買っているものがある。 包帯や軟膏などの止血セットだ。特に軟膏は、どういった調合をしているのか、傷口に塗ると止血はもちろんのこと、傷の治りも早かった。ロジェ曰く、それ専用に作られているらしい。 あ...
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アショア・ド・ヴォーに約束を添えて

ぼくとシリルが共同生活を始めてから、二週間ほどが経ったある日のことである。 その日のぼくは、研究が一段落したのもあって、いつもより少し早く家路に就いていた。 今日は一日、なんだかいい日だった。 天気もよかったし、研究も思うように運んだ。 折...
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Club Private Blood

「ケイ」 美しい声が聞こえる。山脈の奥深くで流れる沢のような、そんな静かで落ち着いた声。 眠りから掬い上げられるように瞼を上げると、ベッドサイドには美しい生き物が立っていた。ふわふわと癖の強い、金色に近いアッシュブロンド。少し眠たそうに伏せ...
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ぼくのルヴナン 設定紹介

 文化人や著名人の中で、ステータスというものは時に何よりも重んじられます。 素晴らしい芸術品のコレクション。喉から手が出るほど羨むコネクション。万難を排し大金を積まねば手に入れられない珍品の数々。 ステータスは多少の地位など簡単にひっくり返します。南米にしか棲息しない珍鳥を持つ中流貴族と何も飼っていない諸侯でしたら、前者に会いたがる

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足のない星 (R-18/G)

R-18G・男女 / 欲にまみれた貿易商が奇妙な少女を攫う話