ぼくのルヴナン 設定紹介

 文化人や著名人の中で、ステータスというものは時に何よりも重んじられます。
 素晴らしい芸術品のコレクション。喉から手が出るほど羨むコネクション。万難を排し大金を積まねば手に入れられない珍品の数々。
 ステータスは多少の地位など簡単にひっくり返します。南米にしか棲息しない珍鳥を持つ中流貴族と何も飼っていない諸侯でしたら、前者に会いたがるのが中央の貴族様というものです。
 ――当時、ヨーロッパ諸国では、とあることが一部の層で流行していました。
 それもまたステータスの一つでした。そしてある意味、万難を排し大金を積む珍獣の類でもありました。

 ――それは、「吸血鬼」を飼うことです。

ケイ・リー・ドゥブレ
 パリ大学の地質学・層序学(そうじょがく)教室に籍を置く教員。34歳。
 研究以外取り柄のない陰気な性格であるが、吸血鬼への興味から吸血鬼に会うことの出来る会員制クラブ「プライベート・ブラッド」の会員となる。
 ある日、突然の出会いをきっかけに吸血鬼のシリルとともに生活をすることとなり――

シリル
 ケイが「プライベート・ブラッド」で出会った吸血鬼。
 浮世離れした美しさと態度からケイは密かに「幽霊(ルヴナン)」と呼んでいる。
 二十代半ば頃に見えるが年齢不詳。

ロジェ
 クラブ「プライベート・ブラッド」を取り仕切る少年。
 十を幾つかすぎた資産家の子息のような外見をしているが、見た目にそぐわぬ威圧感を備えている。

Illustration By キッコ 様