text 足りない我らは (「ぼくのルヴナン」より時間軸を遡っています) ◆ 切り揃えられたブラウンの髪が食堂のテーブルに広がっている。 「エレーヌ」 広がった髪がたわんで、白く美しい額の辺りだけが見えた。 「エレーヌはこの仕事が嫌になったりしないの」 変声... 2019.08.30 textエフェメラの火
text étincelle 会員制クラブ「プライベート・ブラッド」は吸血鬼に会うことの出来るクラブである。 その全てが吸血鬼な訳ではない。ギャルソンや下男などは普通の、いわゆる人間である。だが、会員へ接客をし、酒を酌み交わすのは吸血鬼であった。 ロジェは、パリにあるSang Privé――「プライベート・ブラッド」を取り仕切る少年である。 人間と吸血 2019.04.20 textエフェメラの火